アシカの戯れる砂浜に上陸すると、おびただしい数の鳥が、空を舞っている。赤道の北側に位置するヘノベサ島は、海鳥の楽園である。餌を巡っては適同士のアカアシカツオドリとオオグンカンドリが、隣合って営巣している奇妙な光景も見られる。ウミイグアナは、諸島内では、一番小型種が見られる。
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海鳥の楽園
( Seabird's paradise )
ダーウィン湾は、大きなカルデラの南面が海に沈んでできたもので、周囲を20〜30mの崖で囲まれている。ほんの小さな砂浜から上陸すると、おびただしい数の海鳥をみることができる。
オオグンカンドリ(オス)
( Great Frigatebird ♂ )
オスだけが持つ喉袋は、求愛に向けて10分以上かけて空気を送り込む。非繁殖期には、顎の下から胸にかけて縦に裂けたひだの中にしまい込む。
オオグンカンドリ(オス)
( Great Frigatebird ♂ )
オオグンカンドリとアメリカグンカンドリの2種が分布しており見分けが難しいが、オオグンカンドリは写真のように、翼の中程に淡褐色の帯が走る。また背をおおう羽は、日の光を受けると緑がかった輝きを見せるのに対して、アメリカグンカンドリは濃い紫色に見える。
オオグンカンドリ
( Great Frigatebird ♂♀ )
求愛を行う雄に雌が舞い降りると、雄は翼で抱きかかえるような格好で交尾を行う。その後1個の卵を産卵。7〜8週間にわたって雄雌が交替で抱卵を続ける。
オオグンカンドリ
( Great Frigatebird )
グンカンドリ類は、すぐれた飛翔力を持つかわりに足は短く、歩くのは得意ではない。ちなみに軍艦鳥という名前は、他の鳥が獲った獲物を空中で横取りする習性があることから。ときには、カツオドリ類が飲み込んだ魚を吐き出させて食べることもある。
アカアシカツオドリ
( Red-footed Booby )
ガラパゴス諸島に生息するカツオドリ3種のなかではもっとも小さい。ヘノベサ島はアカアシカツオドリの最大のコロニーである。
アカアシカツオドリ
( Red-footed Booby )
他の2種と異なり、樹上にしっかりとした巣をつくり、水かきのついた鮮やかな赤い足で樹の枝に巧みにとまる。
アカアシカツオドリ
( Red-footed Booby )
アカアシカツオドリの特徴は、鮮やかな赤い足はもちろんだが、顔もカラフルだ。くちばしは水色。くちばしのつけ根が鮮やかなピンク、目の縁取り部分は青い。
シラガゴイ
( Yellow-crowned Night Heron )
クリーム色の冠羽をもつ。ガラパゴス諸島に生息するサギ科の中では唯一夜行性。日中は岩陰や茂みのなかですごし、夜間にバッタや昆虫類、カニやムカデなどを食べる。繁殖期には昼間でも採餌するが、翼を広げて陰にやってくる虫を捕らえる。
ガラパゴスササゴイ
( Lava Heron )
諸島全域の海岸でみられる。潮だまりやマングローブの水辺で小魚を獲ることが多いが、陸上で昆虫やヨウガントカゲを食べることもある。青灰色の体は溶岩を背景にすると目だちにくい。
ウチワサボテン属(低木性)
( Prickly Pear Cactus )
ウチワサボテン亜科のウチワサボテン類のオプンチア(Opuntia spp.)という種。各島によってこまかく分化している。
アカメカモメ
( Swallow-tailed Gull )
大きな目を縁どる赤が頭部の黒に映えて、世界でもっとも美しいカモメといわれる。数少ない夜行性のカモメで、ガラパゴス諸島とコロンビア沿岸のマルペロ島だけに生息する。
アカメカモメ
( Swallow-tailed Gull )
ガラパゴス諸島の海岸線は、一般に潮間帯が狭く、カモメ類の採餌に適した場所は少ない。そのために採餌は沖合で行う。夜行性は獲物を横取りするグンカンドリの存在に対する適応と考えられている。
アカメカモメ
( Swallow-tailed Gull )
大きな目は夜の海面で獲物をさがすためのもの。ヒナは暗闇のなかで親鳥の黒いくちばしの先端にある白い模様をめがけて餌をねだる。
マスクカツオドリ(アオツラカツオドリ)
( Masked Booby )
営巣場所の近くの崖を飛びたち、採餌場所である沖合に向かう。ときに近くで着水するのは、熱くなった体を冷やすため。
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